
はじめに
小笠原ホエールウォッチング協会(OWA)では、ミナミハンドウイルカの個体識別調査を実施しています。
本ホームページでは、その調査によって得られた結果の一部を公開しています。
ぜひ、みなさんも個体識別に挑戦して、イルカたちのことをもっと知ってみませんか?
ミナミハンドウイルカに
ついて
英名:Indo-Pacific bottlenose dolphin
学名:Tursiops aduncus
インド洋と西太平洋の温帯から熱帯域の沿岸部に生息するマイルカ科の鯨類。最大体長は2.7m程ですが、地域差があるようです。
小笠原海域では、最大2.5m程と推定されています。
現在、小笠原海域では、聟島、父島、母島の各列島(小笠原群島)の沿岸域に集中してミナミハンドウイルカが確認されており、小笠原群島海域内に定住していると考えられています。

ミナミハンドウイルカと良い関係を築いていくために
ドルフィンウォッチング・スイムは、小笠原で人気のあるアクティビティのひとつです。その主役であるミナミハンドウイルカは、1990年代初頭から観光利用の対象として親しまれてきました。イルカたちに負荷をかけることなく、持続可能な形で観光利用を続けていくためには、彼らの生態をよく知り、良好な関係を築いていくことが大切です。
こうした背景から、2003年6月にOWAイルカ調査隊が結成されました。2003年以降、OWAではミナミハンドウイルカの生態研究と普及を目的に、年間を通したミナミハンドウイルカの個体識別調査を継続しています。




個体識別調査について
一見同じように見えるイルカたちも、その体をじっと見てみると、体表についた傷跡や、ヒレの形や欠け方、顔つきまでもが一頭一頭違っているのがわかります。小笠原では、このような自然にできた標識を手がかりに、ミナミハンドウイルカの個体識別調査を行っています。
調査方法はいたって単純です。ドルフィンスイムの際に水中カメラでイルカの全身や各部位を撮影することで個体識別データを取得します。データを取ったら、個体識別作業を行います。
本ホームページでも一部ご紹介している個体識別データベースに収録されている各個体の写真と照らし合わせます。
一致個体がいた場合は観察記録などの情報を更新し、一致個体がいない場合は新規個体として登録します。
ミナミハンドウイルカの個体識別方法

地道な調査ですが、長年継続して実施することで、小笠原の海にミナミハンドウイルカが「どのくらい」そして「どのように」暮らしているのかを知ることができます。イルカたちの生態を把握するうえで、とても重要な調査なのです。



識別個体数と確認海域
小笠原でのミナミハンドウイルカの個体識別調査は、父島列島周辺海域を中心に実施されています。本格的に調査を開始した2003年以前に識別されていた個体も含めて、2023年までに累計300頭ほどのイルカが識別されています。毎年数回は聟島や母島列島海域にも調査に赴くことがあり、その結果、聟島列島から母島列島まで、それぞれの海域を行き来する個体が複数いることがわかっています。一方で、特定の列島周辺でしか確認されていない個体もいます。



ドルフィンスイムを楽しまれるみなさまへ
小笠原にはドルフィンスイムに関する自主ルールがあります。生息環境の保全とツアー参加者の安全と快適性を確保するため、小笠原村観光協会がOWAのアドバイスのもと、2005年7月に自主ルールを制定しました。(改定年月:2020年8月)


自主ルールを守り、イルカたちのくらしに配慮しながら、ドルフィンスイムならではの出会いをお楽しみください。
そして、出会ったイルカが「どんなイルカだったのか」ということにも、ぜひ目を向けてみてください。
参考文献
一般社団法人小笠原ホエールウォッチング協会. 2021. 小笠原のミナミハンドウイルカ個体識別カタログ2020.
辻井浩希. 2024. 写真から紐解くミナミハンドウイルカのくらし.小笠原ホエールウォッチング協会機関誌『Megaptera』,95: 1-2.
森恭一, & 岡本亮介. 2013. 小笠原のミナミハンドウイルカ.月刊海洋, 45: 226-231.
