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お知らせ

2025/8/6

三宅島海域と小笠原海域において、同一繁殖期内でのザトウクジラ同一個体の来遊を初確認

ザトウクジラは高緯度の摂餌海域と低緯度の繁殖海域を季節回遊する大型鯨類であり、尾びれの縁の形状や腹面の白黒模様によって個体識別ができます。

小笠原海域は、北太平洋における本種の冬季の繁殖地もしくは回遊地として知られていますが、2018 年以降、伊豆諸島三宅島海域でもその姿が確認されています。

2022~2023年の繁殖期間に実施した個体識別調査の結果、三宅島海域で確認された2個体が、小笠原諸島父島列島海域でも確認されました。

同一繁殖期間内における両海域での同一個体の確認は初めてであり、これらの個体は、この年の繁殖期間中に三宅島海域と小笠原海域の両海域を利用したことが示されました。

一方で、三宅島海域で確認された 29 個体のうち 27 個体(93.1%)が同じ繁殖期間中に小笠原海域で確認されなかったため、三宅島海域で確認されたほとんどの個体については、その後の行方は不明です。

今後、小笠原海域におけるより多くのデータの取得を図るとともに、その他の来遊海域(南西諸島や八丈島など)と三宅島間での個体識別写真の照合も進めることで、三宅島で確認される個体とその他の海域を利用する個体との関係性をより明確に把握することができると期待されます。

本報告は、2025年7月発行の学術誌『哺乳類科学』に掲載されました。

〇発表論文

【雑誌名】
・哺乳類科学 65巻2号(2025年7月)

【著者名】
・菊地ひとみ(earth wind &, 東京都自然ガイド)
・近藤理美(特定非営利活動法人エバーラスティング・ネイチャー)
・田中秀侑(特定非営利活動法人エバーラスティング・ネイチャー)
・辻井浩希(一般社団法人小笠原ホエールウォッチング協会)

【タイトル】
・2022~2023年繁殖期間における伊豆諸島三宅島と小笠原諸島父島列島でのザトウクジラMegaptera novaeangliae同一個体の確認
(Confirmation of the presence of the same individual humpback whales (Megaptera novaeangliae) in the waters of Miyakejima in the Izu Islands and Chichijima in the Ogasawara Islands during the 2022–2023 breeding season)

【URL】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/65/2/65_177/_article/-char/ja

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